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2011年11月 第482冊
原りょう  「天使たちの探偵」  ハヤカワ文庫

原りょう  「天使たちの探偵」  ハヤカワ文庫

沢崎探偵シリーズ三冊目、短編集です。
第1冊「そして夜は甦る」はイマイチだったが、
第2作「私が殺した少女」が十年に一度巡り合えるかどうかの大傑作。
直木賞受賞作だけあって、この作品だけでも読んでおいて欲しい。

これで一気にハードボイルド・ファンになり、レイモンド・チャンドラー
「長いお別れ」も読みました(世評ほど面白くなかったが、
ハードボイルドの聖書くらい読んどかないとね)。

本書は短編6編とオマケ1篇からなりますが、正直全体としては凡作。
けちょんけちょに書こうと思ってましたが、最後の短編「選ばれる男」が
素晴らしい出来で、これを読まされちゃぁ文句も言えません(言ってしまったが)。

それにオマケ1篇「探偵志願の男」がファン大満足の沢崎探偵の秘密が
解かる仕組みとなっており、秘密のベールに包まれた男たちの裏側を
チラチラ垣間見せてくれます。
結構ファン・サービスがイケてる。

「少年の見た男」・・・銀行強盗が思わぬ反撃を喰らう
「子供を失った男」・・・世界的指揮者が登場
「二四○号室の男」・・・二四○がシャレ
「イニシアル“M”の男」・・・自殺予告電話を探偵は受ける
「歩道橋の男」・・・女探偵がライバルとして登場するのか?
「選ばれる男」・・・本編のみ出色。選挙立候補者がイイ人すぎる
「探偵志願の男」・・・おまけ

おまけ「探偵志願の男」は、「選ばれる男」に出て来た少年が、
青年となった頃に探偵志願してくるというエピソード。

青年から沢崎に逆質問をすることにより、ミステリアスな彼の
探偵になった経緯が明らかにされてゆきます。

著者名「原りょう」の「りょう」は、「寮」の「ウかんむり」が
取れた字ですが、文字化けするので仮名書きにしてます、あしからず。






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