2011年11月 第488冊
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福田誠 「潜水戦艦ニューヨーク奇襲作戦」 実業之日本社
潜水戦艦をバカバカしいと笑い、ニューヨーク奇襲なんて
出来るわけ無いとあきれる。
そう頭ごなしに考えてしまう人は、本書に感心さへ抱かないだろう。
この本は、潜水艦が戦艦化していたら何が出来ただろう・・・?
ニューヨークを艦砲射撃したら、アメリカは厭戦気分になったかも・・・?
と、限りなくムリな想定を、さも出来そうに書いている。
まず、山本五十六が長岡藩家老山本家を相続せず、高野五十六のままでいる。
大怪我により純粋エリートからアウトローとなった五十六は、
連合艦隊と双璧を成す潜水艦隊を形成し、彼が率いる潜水艦隊は
米軍太平洋艦隊の空母戦艦を各所で撃破撃沈してゆく。
実際米軍は潜水艦部隊を太平洋各地に潜伏させ、
日本軍補給ルートを中心に多くの船舶を撃沈させた。
五十六自慢の潜水艦は大和級三連46サンチ砲を
積み込む大型船にまで発展してゆく。
どうやって大砲の防水対策をするのか不思議だが、
ラクラク潜水するのである(笑)。
敵空母との艦隊決戦はお笑いで、潜水戦艦は亀の子よろしく
ピョコッと顔を出すやズドンと大砲をぶっ放す。
戦果を見届ける間もなく沈潜し、潜水戦艦はうまうまと逃げおおせる。
驚くのは米軍空母だ。
水中より大型潜水艦が浮上したかと思う間もなく、
46サンチ砲をぶっ放されるわけだ。
この辺の描写はまさにエンタテイメントで、
お恥ずかしいが、かなり面白く読めた。
終盤はニューヨーク奇襲だが、
紙数が少なくなってしまったのか
急に駆け足になったのが残念。