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2011年12月 第492冊
大沢在昌  「新宿鮫」  光文社文庫

大沢在昌  「新宿鮫」  光文社文庫

どうして読んでこなかったのか?と、読み始めてすぐ後悔した。

新宿での怪しい冒頭から、すぐ面白い小説だと感じたし、
グっと引き込まれた勢いは、最後まで衰えなかった。

中盤、追いかけていた犯人との対決が、第一の山場となるが、
殺人実行犯を、更に、追い続ける流れも飽きさせない。
恋人に迫る危機との時間勝負も、ハラハラさせた。

結末が予感できつつあっても、敢えてその結末を
著者の文体で、味わいたいと思わせる筆力があり、
こりゃ相当な作家を、私は見逃していた。

そう、大極宮で有名な一人、大沢在昌を
今日まで読んだ事が無かった。

学生時代に読んでいたって全然良いんだし、
どうして読んでいなかったのか。

そもそも私は歴史・SF・文学を中心に読んできた。
ミステリは宮部、東、黒川あたりしか突っ込んで読んでいない。

海外ミステリなんて、ほとんど読んでいないわけで、
国内作家に、こうも面白い人がいるんなら、
しばらく対象作家が増えて、困ってしまいそうだ。

取り敢えず彼の新宿鮫シリーズは3冊買ったので、
遠くない日に、第2巻を読むだろう。

主人公鮫島警部は、警察キャリアとして警視庁に入庁したが、
上層部の暗闘に巻き込まれ、ドロップアウトしている。

とてつもない秘密を知ってしまい、どちらの派閥にも
属さないばかりに、現場で冷や飯を喰わされている。

かつて、同期でライバル視していた男が嫌なヤツ全開で、
上下関係の強い組織を、ねっとり絡まさて来る。

新宿署の鮫島だから、新宿鮫という隠語(ニックネーム?)
なのだが、鮫のようにそっと近づいて、バクっと上げる検挙率が
記録的に高いためでもある。

シリーズモノの並行読書は、これ以上自重していたのだが、
これは次回作が、我慢できない面白さだ。







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