2012年04月 第504冊
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副田護 「オーストラリア本土作戦」 廣済堂ブルーブックス
WW2の架空戦記もの。
ハワイを占領していたらとか、米国本土に押し寄せていたらとか、
いろいろあるけれど、本書の主眼は
「日本を縦軸に、オーストラリアまで占領して地球を南北に分断していれば?」
という発想。
ガダルカナル戦で苦労した、
オーストラリアからの絶え間ざる連合軍への補給。
もし、早々にオーストラリアを占領できていれば、
南洋・豪州への連合軍の補給路が絶てれたわけで、
その後の展開も変わったのではないか?
オーストラリアというと広大な占領地確保が持続できるのか?
という不安が先に来るが、著者はこう論破する。
中国大陸のように面で制圧する必要はない、
豪大陸は点(都市)制圧で十分であり、
それは南洋の島々を点で抑えるが如きだと。
確かに豪大陸は居住地が延々と続いてるわけでなく、
都市から都市の間は果てしない不毛の大地(らしい)。
主要都市を電撃制圧し、講和条約を結び、
日本側中立国とすれば連合国の補給拠点からは外れる。
さすれば南洋諸島での戦いは有利に進み、
勝てるまでには行かずとも、互角の決戦が可能ではないかと。
ただし、ここでは重大な前提があり、
ミッドウェイで負けていなかったとしたら、という仮想条件がある。
ミッドウェイで空母を大きく損じることなく、
逆に、米国の空母を減らせていたなら、豪大陸攻略が可能だっただろう、と。
なぁんだ、と思ってしまうが、まさにミッドウェイ敗戦は、
多くの可能性を摘んでしまったことに気付く。