2012年07月 第532冊
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北原尚彦 「SF奇書天外」 東京創元社
戦後SFの奇書ばかりを紹介した労作。
「SFマガジン」誌にて2001年1月号〜05年12月号までの
5年間にわたり連載されただけあって、膨大な書籍が紹介されている。
月刊雑誌の名物コーナーとして、一ヶ月に数ページ読むには
丁度いいんだろうが、それが5年(60ヵ月)プラス書き下ろし加算、
とくると、そりゃもう延々と続くわけです、SF奇書の紹介が。
それでいて本文325ページといった文量で、一見普通のボリュウムに思えた。
しかし、奇書というのが曲者だった。
名作SFだと、面白いストーリーや奇抜なアイデアなど、
いつまで読んでも飽きが来ない。
しかし奇書というのは、とにかく奇妙で変テコで、
頭がこんがらがってくるストーリーが多いのだ。
十冊に一冊の割合で、奇天烈ストーリーを聞かされれば
興味を持つだろうが、ただひたすら奇書だけを紹介する。
その徹底さは、本書そのものまで奇書にしている。
時代別に紹介されてあり、SFの裏歴史を読める構造ともなっている。
四十年代後半から五十年代、六十年代、七十年代、八十年代、九十年代
と分けてある。
九十年代で終わっているのは、連載が2001年スタート、2005年終了したためだ。
もし、好評だったなら続編が書かれていても可笑しく無いんじゃないの?
と思い調べてみたら、やっぱりやってました。
ただし、WEBで。
東京創元社のウェブマガジン「Webミステリーズ!」の
Science Fiction コーナーにて、現在連載第19回と続いています。