2012年08月 第542冊
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大沢在昌 「毒猿 新宿鮫2」 光文社文庫
新宿鮫1を読んで、これはもう全シリーズ間違いないと思って、
今は第9巻まで、買い集めてあります。
新宿鮫が百点満点だとしたら、本書も百点満点。
第1巻も第2巻も、まったく変わらぬレベルの面白さとは、
ほんとに瞠目に値する。
今から約二十年前(1991年)の作品ですが、今からでも
シリーズ読破を目指そうとしても、十分楽しめると思います。
新宿署の一匹狼デカ、鮫島が新宿を舞台に
悪をやっつけるハードバイオレンス。
台湾から潜入している殺し屋とのスリリングな鬩ぎ合いと
時間勝負が、手に汗握ります。
ただ一点気になるのは、恋人をほったらかしにする心理。
自分を止めようとする組織があるとすれば、当然家族や恋人を人質に取る。
彼の恋人は鼻っ柱が強くてやんちゃ娘だが、それだけに心配りを
するのが現実であるのに、鮫島は鉄砲玉のように突っ走って恋人の
「いま」を心配していない。
そんなことを言っても、圧倒的に面白い作品であることは変わらない。
これ以上面白いシリーズがあるよ、というものがあるなら、
早速、読んでみたいものだと思うくらい。