2012年11月 第551冊
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大森望:編 「不思議の扉 時をかける恋」 角川文庫
「時をかける恋」をテーマにした名作アンソロジー。
○梶尾真治 「美亜へ贈る真珠」
○恩田陸 「エアハート嬢の到着」
○乙一 「Calling You」
○貴子潤一郎 「眠り姫」
○太宰治 「浦島さん」
○J・フィニィ 「机の中のラブレター」
本シリーズ・アンソロジーは現在第4巻まで続いており、いづれも購入済み。
第1集「不思議の扉 時をかける恋」
第2集「不思議の扉 時間がいっぱい」
第3集「不思議の扉 ありえない恋」
第4集「不思議の扉 午後の教室」。
私は「もしも・・・」という話が大好きで、
それは戦争イフだろうと恋愛物だろうと何だっていい。
「もしも」別の道を選んだだけで人生は大きく変わってたかもしれないし、
取り返しのつかない結末が待っていたかもしれない。
自分の人生でそれを挑戦するわけにはいかないので、
こうやって小説で堪能したいんです。
圧倒的に、まったく別次元で面白かったのがジャック・フィニィの
「机の中のラブレター」。
格調ある文章、今から半世紀以上昔の舞台設定なのに分かり易いプロット。
古くて頑丈な小机を入手した主人公は、ある日、引き出しの奥に隠し棚を見つける。
隠し棚の中には、かつての所有者が書いたラブレターが入っていた・・・。
とてもロマンティックで、大昔に書かれたラブレターに思いを馳せ共感し、
まったく無駄だと分かっていても供養してあげるかのような対応をする主人公。
そこから奇跡が起こり、ラストは鳥肌が立つようなエピローグが添えられる。
ああ、なんて上質なお話なんでしょう。
ハヤカワ文庫「ゲイルズバーグの春を愛す」に「愛の手紙」という題名で
入っているようなので、こちらの短編集(購入済)も早く読みたい。