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2013年2月 第558冊
ゴールドストーン「古書店めぐりは夫婦で」ハヤカワ文庫
ゴールドストーン 「古書店めぐりは夫婦で」 ハヤカワ文庫

古本とか古書なんて言葉がある本は、どうしても買ってしまう。

古本関係の本を読み続けて思うことは、人それぞれの本への嗜好は千差万別。
そこへ以って、読書好き人間は一癖も二癖もあるもんだから、
読書のベクトルも、全くバラバラ。

本が好きというだけが唯一の繋がりで、ほとんどの古本モノは
自分と好みが合わない。

ちなみに、私の古本探しの嗜好は・・・。
まず、大好きな作家を全作品収集している。

南條範夫、海音寺潮五郎、檜山良昭、三野正洋、東直己、黒川博行。
上記六人は見つけ次第、買っている。

次に、好きなジャンルを買う。
イフもの、戦記秘史モノ、中東欧や東アジアなどのマイナー国の歴史、
未解決事件ノンフィクションなどなど。

他にもチェックしている作家はまだまだあって、紀田順一郎、
綱淵謙錠、杉本章子、横田順彌、長山靖生、フィニ・・・。

本書の舞台はアメリカ、マサチューセッツ州レノックス。
レノックスと聞いても?ですが、ボストンやウースター、
スプリングフィールドと聞けば、ああ聴いた事がおありでしょう。

マサチューセッツ州から南西へ、コネティカット州を越えれば
ニューヨークがあり、そう、アメリカ東海岸地方の北部といった
シチュエーション。

ゴールドストーン夫婦はここを根城に、西へ東へ、
古書古本を探して、古書店めぐり。

当初は好きな作家、好きな作品の美本を10ドルくらいで探してるんですが、
珍しい作品発見で数十ドル、大好きな名作の初版本で数百ドルと、
どんどん稀覯本の世界に、足を踏み入れてゆきます。

初版本蒐集に、まったく共感できないので、主人公夫婦は
どんどん詰まらない世界へ進んでゆくのですが、
古書マニアとすれば初版本・稀覯本こそ王道なのでしょうね。

著者夫婦も当初は、初版というだけで値段が数倍に跳ね上がることへ
不満たらたらなんですが、中盤からはすっかり
「初版本=価値が下がらない」という思想に染まってゆきます。

最後の最後で、もう一度、初版本至上主義に凝り固まった思考を
反省しますが、やっぱり初版でも「美本」なら良いだろうと落ち着きます。

初版だろうが重版だろうが、作品が読めりゃ何でもいいと思うんだがなぁ。
原典版と改訂版とか、一部異稿があるとかなら、ちょっとは解るけど。

本書では18〜19世紀の文学作品を中心に、皮装丁の初版美本を、
名物古書店(図書館みたい)で物色したり、店主と談笑したり追い払われたり。

洋の東西を問わず、ビブリオ・マニアは兎に角、本を追い求めます。
ただ、安くて良いものを探している私にとっては、どうも共感しづらかった。







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