2013年2月 第559冊
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横田順彌 「明治不可思議堂」 ちくま文庫
山田風太郎によって、明治モノに目覚めた私ですが、
そんな明治の不可思議を、集めたのが本書。
著者は押川春浪(冒険小説家)に思い入れがあって、
そこから、明治をどんどん掘り下げていったそうである。
今から、たった百数十年の、しかもこの日本の話なんだが、
こうも面白いエピソードが満載とは。
六十数編の明治エピソードから成るが、最も興味を引いた話を一編。
かの有名な、タイタニック号沈没事件。
あの豪華客船に、日本人が一人乗っていたというだけで驚きだが、
その日本人は、数少ない救出者に含まれたというのだ。
その後、救助された人物は、日本男児なのにかかわらず、女子供を助けず、
おめおめと助かってきたのか!と避難轟々の嵐。
沈没時は混乱の極みで、女子供を押しのけたわけでもなかろうに、
帰国後は、相当苦労されたそうだ。
タイタニック号に日本人が乗っていて、救助された中に
含まれていた事だけでも驚きなのに、その孫にあたる人物が
なんとあの人だとは、という驚きの結末も用意されている。
誰もが知ってるミュージシャンなんですよ。
驚きの子孫が誰だか知りたい人は、ぜひ本書を読むか、
ネットで探してみて下さい。
いつの時代でも、せっかく助かったのに、もし自分が同じ状況にあっても
どうにもならなかったろうに、とやかく言う人が多いんですね。
とにもかくにも、意外で面白いエピソードが満載です。