2013年4月 第571冊
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池東旭 「韓国の族閥・軍閥・財閥」 中公新書
かつて中公新書「物語韓国史」を読んだが、神話にはたっぷり紙幅を
ついやしてるのに、近現代は足早だったのが不満だった。
そこで本書を買った訳だが、これは存分に満足いく内容だった。
歴史と云うのは著者の観点記述によって、大いに変わるもので、
完璧に正しい史書というのは、この世に珍しいだろう。
だから韓国史の何が正しく、何が間違っているのかさへ、
今の私には判らないのだが、取り敢えずは手当たり次第、
読み進んでいこう。
類似本を読んでいくことによって、あの本ではこう書いてあったのに、
別の本ではああ書いてるんだな?と比較できるようになり、
いつしか史論の中心と異端が、判ってくるだろう。
本書はどうなのか、かなり過激な見方が開陳されている。
ほぼ記載どおりなら、本当に大変な隣国だ。
携帯電話で訴訟合戦をやっていたが、韓国の今後が
どうなるか心配になってくる。
戦前の族閥政治、戦後の独立から軍閥が三十数年続き、
民主化とともに財閥が、のっぴきならない規模に膨張してゆく。
今度の新しい大統領は女性で、クリーンなイメージを持っていたが、
本書にて彼女の亡父について読むと、本当にその通りだったら
と考え込んでしまう。
父と娘は親子ではあれ、別人格なんですけどね。
1997年初版と古いのが残念で、本書が近年までの韓国を
描き込んだものだったら、もっともっと面白かったろう。
それは無理な注文だが。それほど、興味深く読んだ。
各国の歴史を読むことは、本当に面白い。