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2013年5月 第575冊
ディック 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 ハヤカワ文庫
ディック 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 ハヤカワ文庫

百人中八十人が名作だと判断しても、
自分が感銘を受けなかったら何にもならない。

どこででも名作だと云われている本だとしても、
そう思わなかった人の話も読んでみたい。

このメルマガ感想は「私の感想」であって、
世間でどう思われているかは関係ない。

SFにしろ純文学にしろ、何か本質を描くために
別の話を通して描こうとする手法があるが、
本書が、まさにそれ。

核の灰に汚染され尽くされた未来の地球が舞台だ。
主人公は逃亡アンドロイドを始末する賞金稼ぎ。

多くの種が絶えてしまった世界では、生身の動物を
飼うことにステイタスがある。

主人公はカネが無く、本物の羊の代わり、
近所の眼を誤魔化すために電気羊を飼っているが、
本物の羊を飼いたい。

妻は精神不安定で、精神改善装置でどうにか遣り繰りしている。

設定自体はなかなか面白いし、中盤登場する女性アンドロイドに
情が移って殺せなくなる流れなど、その本質は何か別のことを
言いたいのだろう。

そういった本質を読み解いていく裏読み深読みを淡々と
出来る読者をデフォルトにしている。

面白いか、面白くないか。
私の単純な読書では、もう読み進めてゆく毎にジリジリと
減ってゆく残りページだけが楽しみだった。

途中からサーッと晴れ渡るように物語が展開するわけでもなく、
逃亡アンドロイドを追い詰め殺し、煩悶しまた次の獲物を追い求める。

最後に見つけた生き物への歓喜から落胆、
それでも心の平安を取り戻す主人公。

何か別のことを言いたいんだろうな、本質では。
結局、全然面白くなかった。

ディック短編集も買ってしまってある。
いつの日か、それも苦行のように読むのだろう。
SFの名作だから、とにかく読み終えた。
「読んだよ」と言えるために。







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