2013年7月 第597冊
-
小谷野敦 「日本の有名一族」 幻冬社新書
むかし神一行「閨閥」を読み、政治家や財閥は名家や旧華族と
結びついてるんだなと、ウンザリしたことがあるが、
本書は、政治経済に留まらず、文学・学界・古典芸能にまで
一族関係譜を蒐集した一冊。
著者は、東大・同大学院卒だが、ウィキペディアで経歴を参照すると、
非常に忙しい人生を送っている。著作も膨大にあり、
私は、全く知らなかったが、かなりの支持者がいる模様。
著者は、系図係累を調べ一覧表に纏めるのが好きだそうで、
その集大成が本書。特に文学者は明治・大正・昭和と
かなり網羅されており、あの作家と近頃話題の作家が、
こんな関係で繋がっているのか、と少々面白い。
私のお爺ちゃんの叔父が、あの有名な作家で・・・、とか、
母方の祖母の親類ですが、戦前の外務大臣をした何某がいまして・・・
なんて云うと、「へえ、あの有名人の血が128分の1とはいえ
入ってるんだ」と、少し見直してしまう心情がある。
へえ、と感心した血縁を少々。
作曲家兼指揮者、山本直純の親戚に、有島武郎と里美クがいる。
大好きな指揮者、尾高忠明の遠縁には、澁澤龍彦や穂積陳重や渋沢栄一がいた。
やっぱり芸術家はお金持ちでないと、なれないのだなぁと僻んでしまった。