2013年9月 第606冊
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恩田陸 「六番目の小夜子」 新潮文庫
初めて読む作家だから、作品も吟味したつもりだった。
「六番目の小夜子」はネットなどでも評判良く、これが面白ければ、
他(ねじの回転)も手を出そうと思っていた。
しかし読後確認してみると、本書はデビュー作だった。
当時ドラマ化されたことも話題となり、彼女の初期の代表作に祭り上げられている。
そんな先入観を廃して、初心で読んだ感想を述べよう。
前半、何度も読むことを止めたかった。
ジュブナイル小説と言うか、子供だましと言うか。
私が少年だったころ、最も嫌うパターンの学園モノだった。
中盤、唯一ワクワクしたのが、体育館での全校生徒による朗読。
しかし、それも予想外の出来事で、なし崩しになってしまう。
これ以降は、ふうん、と読んでいくような話ばかりで、
部室の放火事件なんて、そうする人もいるんだろね、
程度にしか感じなかった。
それよりも、著者の人生体験が気になり、早速ウィキ・チェック。
やっぱり著者も転校生体験を繰り返し、転校生と在校生との
「余所者排除論」は、実体験に基づくものだったのだと感知した。
転校に転校を重ねたのに、水戸一校から早大に進むなんて、
著者こそ、サヨコじゃないと鼻白んだ。
歴史イフものの「ねじの回転」だけは、読んでみよう、かな。