2013年10月 第612冊
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脇村義太郎 「東西書肆街考」 岩波新書
書肆(ショシ)とは、本屋を勿体ぶっていう言葉。
東西の本屋街について考察されているとは、これは面白そうで格調高い名題だ。
著者は和歌山県出身。
三高(京大の前身)から東大に進学し、若くして東大助教授に駆け上った秀才。
東大経済学部教授となり、日本学士院長や文化功労者にもなった偉い人。
1900年生まれが、本書を1979年(79歳!)に初版したわけであるから、
そりゃもう文章は読み応えたっぷり。
昔の本を読んだなぁという満腹感たっぷりとなった。
学生時代を京都と東京で過ごしただけあって、二都の本屋街を
よく調査されている。ただし、大昔の。
二都の主に古本古書街の形成と変遷を調べ上げた力作。
これでもか!と膨大な本屋の小史が満載だ。
特に神田古書街の変遷は「明治前期」「明治後期」「大正期」「昭和前期」
「昭和後期」の五部に分かれており、神田古書街の歴史を辿りたい人には
打ってつけ。
経済学教授だが、経営史を専攻されただけあって、
古書店の歴史をみっちり書き込んであった。
読みものとしては、面白くはなかった。