2013年11月 第615冊
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東直己 「さらば愛しき女と男よ」 光文社文庫
北海道新聞に掲載されたエッセイ集。
私は東直己の大ファンで、彼の著作を全部読もうと揃えており、
年代順にあたってるんで本書を読んだのですが、まあ面白くなかったこと。
酒場における著者の交遊録なわけですが、こんな出会いや
友人との関わりが、酒飲みには大切なのでしょう。
私も酒が好きでして、酒場も好きですが、バーやクラブに行った事が無い。
と云うのも、酒場の料理も好きなため、じっくり酒だけを味わうのは
ノーセンキュー。
旨い料理があって、酒もある。
あくまで料理主眼であって、酒は添え物なんですね。
ところが呑兵衛は違う。
うちの父がそうでしたが、ちょっとした肴だけで延々、酒だけ呑む。
最後に、ちょっとだけ飯を喰ってシメ。
あれで腹が膨れるんだろうか。
私は呑兵衛にならず、真性の喰いしん坊に育ちました。
食いしん坊の人生の方が、よほど愉しいと思いますが、
呑兵衛と喰いしん坊は、似て非なるもの。
判り合えることはないでしょう。
そんなワケで、本書は「呑兵衛」でないと味わうことは難しい。
食いしん坊の私には、東ファンながら詰まらない一冊でした。