2013年11月 第619冊
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田澤耕 「物語カタルーニャの歴史」 中公新書
栄枯盛衰とはよく言ったもので、あれほど栄えた王国が、
国ごとなくなってしまったケースが多い。
ローマ帝国が凄いぞ、といっても永遠に続くものでなく、
スペインだポルトガルだと言っていたら、フランスやイギリスが台頭し、
ドイツやロシアも、遅ればせながら暴れ出す。
今じゃ大陸ごと変わって、アメリカと中国か。
奢れる者は久しからず、追いつけ追い越せ、興亡は繰り返す。
そんな毀誉褒貶の中世、地中海を席巻した大帝国があった。
そう、一時の事といえ、大帝国だったのがカタルーニャだ。
今は、スペインのカタルーニャ地方と忍びないが、
スペイン東部の地中海方面だけでなく、最盛期には
マリョルカ島・サルデーニャ島・シチリア島・
イタリア半島南部までも版図とした。
地図で見れば一目瞭然、地中海王の名に相応しい
海洋大帝国を築いていたのだ。
なぜ、そんな大帝国が衰退したのか。
ご多分にもれず、二人の息子に二分し、国家が分裂縮小するためだが、
この辺の舵取りが上手くいっていたら、地中海の勢力分布は
変わっていたかもしれない。
著者田澤氏の文章がイイ。
カタルーニャへの愛が溢れており、歴史がとっても興味深く書かれている。
こういう人こそ、もっと本を出すべきだ。