2014年1月 第621冊
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深田正雄 「軍艦メカ開発物語」 光人社NF文庫
著者は東北大学卒業後、海軍の技術士官に任官し、造船中佐まで登った人。
戦後は松下電器産業の部長までなり、軍でも民でも活躍。
本書は昭和63年に単行本、平成8年文庫化されたロングセラー。
姉妹書として「造艦テクノロジー開発物語」がある。
軍艦ではあるが、「メカ開発」とあるように、著者は電気屋さん。
軍艦そのものの鉄鋼や艦体ではなく、電気系統システムに携わった。
無線基地での敷設工事なども体験されており、
技術屋ならではの視点・体験からの記述が新鮮。
戦記モノ、軍記モノは様々な取り組み方があります。
広範な戦略論、局地戦における戦術論、空母戦艦や戦闘機などに
特化した戦闘メカ、輸送や諜報活動といった裏方。
今回は、軍艦の血管ともいえる電気系統や連携システム回路といった
軍艦各所の「仕組」が語られている。
読んでみて、確かにこういったシステム回路が進化していればいるほど、
戦闘は効率化し、戦闘力がアップする。
例えば、高射砲の指揮装置。
高射砲が100門あったとして、敵の飛行機100機が突っ込んできたとする。
1門ごと人間が撃っていたら、どうしても交差して
撃ってしまう対象物があり、見落としてしまう敵機も出てしまう。
それが指揮装置で自動化されれば、100門は100機平等に撃ってゆく。
コンピューターが無かった時代、それにどう対処していったのか。
そう、全てがコンピューターが無かった段階で、技術者がアナログで
どう対処していったかが、述べられる。