2014年3月 第635冊
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真保裕一 「ホワイトアウト」 新潮文庫
これは文句なしに面白かった。
全637ページのズッシリとした文庫本だが、時間がある限り読だ。
こういった寸暇を惜しむほど面白い読書が嬉しいよね。
とにかく面白い本が読みたい、そんな時にはコレに限る。
飛行機に十時間ほど乗る時は、これがあれば丁度良い。
いな、寝るのを忘れて、時差ボケになっちゃうだろう。
奥遠和ダムという日本最大の貯水量を誇るという、架空のダムが舞台。
新潟県魚沼市の奥只見ダムがモデルのようだ。
冒頭は登山初心者が遭難に遭い、発電所詰めの若者2人が
正義感から救助に向かう。
危険すぎるからやめろ!と散々引き止められたのを振り切って、
二人は雪嵐の山へ向かう。
ようやく谷底で彷徨っていた遭難者を発見し、
悪戦苦闘で救助を始めるが、
主人公の相棒が骨折。
いきなり初っ端から、主人公は大ピンチ!
遭難事故後の人たちのエピソードが数篇折り挟まれ、
いよいよ長大なメインテーマが始まる。
そう、ホワイトアウトだ。
2014年2月、東京も未曾有の大雪に苛まれた。
私はこの大雪のさなか、本書を読んでいた。
雪のために電車は止まり、バスは来ない。
深々と降り積もる雪の中、いつ来るとも判らないバス停に、
雪にまみれながら本書を読んだ。
それだけに、雪の冷たさ、怖さをちょっとだけ実感しながら読めた。
本当に雪って、恐ろしい。