2014年4月 第639冊
-
碇義朗 「幻の戦闘機」 光人社NF文庫
副題に、〜「零戦」後の陸海軍機の開発秘話〜
とあるように、研究開発中に終戦を迎えたり、
機種削減で開発中止となった幻の機種を追う。
著者碇義朗氏は、「戦闘機入門」を読んでいたので、
本書も安心して読めた。
実際に、陸軍航空技術研究所で戦闘機開発に
取り組んでいたキャリアがあり、開発にかける想い、
愛情深い文章だ。
戦闘機のせいで、何人の尊い命が消えたと思ってるんだ、
と言えるかもしれない。
しかし、より強いもの、究極を具現化する行為に、
人は夢中になってしまう。
全部で11章。
ドイツのロケット戦闘機の一部データからコピーを作り上げた「秋水」。
同じくドイツのジェット機の国産化を目指した「橘花」「火龍」。
高射砲を乗っけようとした「キ109」「キ93」。
鴨のように機首を前方に飛び出させ、主翼を後方に持ってきた「震電」。
プロペラを後尾に、主翼からビームを2本伸ばして尾翼で繋げた「閃電」。
想像がつかなかったら、画像検索して見て下さい。面白いですよ。
高速・高高度を目指した機首もあれば、
発想を大転換して、特異すぎるフォルムを産み出したり。
人間の想像力は計り知れない。
結局は、エンジンの高性能化がカギ。
小型かつ大出力を、精密パーツでハイオク・エネルギーで
稼動させる為には、工業力の地力が勝負となってしまう。
突飛なアイデアだけでは、奇跡は起きなかったことがよく判る。