2014年4月 第640冊
-
松本清張 「日本の黒い霧」上下 文春文庫
文庫で上下、八百ページ超のボリューム満点。
読み切るのが辛かった。
小説仕立てでなく、綿密詳細なルポルタージュで検証考証が延々。
戦後まもない怪事件、概要を知った上で真相解明に興味あるなら、
面白い連作集と感じるだろう。
また、解説で取り扱われているように、怪事件の真相に
連合軍GHQが絡んでいたのでは、と推理されていく事件がある。
結果的にそうなったんだし、そうなる可能性の事件こそ
怪事件になったんだと、清張は示唆している。
占領下の中、うまく舵取りに利用したのではあるまいか。
そんな推理が、数多くの状況証拠の積み上げて築き上げられてゆく。
・下山国鉄総裁謀殺論
・「もく星」号遭難事件
・二大疑獄事件
・白鳥事件
・ラストヴォロフ事件
・革命を売る男・伊藤律
・征服者とダイヤモンド
・鹿地亘事件
・推理・松川事件
・追求とレッド・パージ
・謀略朝鮮戦争
・なぜ『日本の黒い霧』を書いたか