2014年5月 第644冊
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平岩弓枝 「御宿かわせみ16」 文春文庫
副題でもある「八丁堀の湯屋」が出色。
黒船も現れる江戸後期が舞台の、御宿かわせみ。
江戸時代の銭湯は、男女混浴が一般的だったとか。
しかし江戸後期ともなり、文化の中心江戸では、
男女混浴では無くなっている。
江戸っ子は、朝風呂が大好きだったそうだが、
出仕出勤前に、朝風呂で身だしなみを整えて
仕事に向かう男性が多かったそうだ。
本編は、そんな朝風呂に事件が起こる。
朝風呂は男性が圧倒的に多く、家事に追われる女性は
ほとんどいない。そこで女風呂も朝だけは男風呂に変更して、
営業していたそうだ。
ところが、そんな男風呂改装は江戸全体にあったわけでなく、
出仕出勤の多い地域に限られていた。
そんな中で、悲劇が起こる。
他の作品「ひゆたらり」「煙草屋小町」もそうだが、
凄惨で哀しい事件が多い。