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2014年5月 第649冊
出久根達郎 「佃島ふたり書房」 講談社文庫
出久根達郎 「佃島ふたり書房」 講談社文庫

第108回、直木賞受賞作品。
いやあ、これはよく書けた立派な作品。
久し振りに満足のゆく「小説」というものを読んだ読後感。

著者は、有名な古本屋さん。
そんな人が、古本屋小僧から独立する経緯の小説を
書いているわけだから、てっきり半自伝的小説かと
思い込んで読み始めてしまった。

戦前の東京、古本屋の小僧二人が主人公。
性格の違う二人が、一つの事件から仲良くなり、
一緒に古本屋稼業として独立してゆきます。

オトコの友情物語を基調としつつ、
戦前戦後の古本業界が描かれており、
古本好きとしては、面白い話ばかり。

関東近縁の地方古本屋でセドリして、東京で高く売る。
なんて面白そうな商売でしょう。

本離れが酷い現代、全国画一化してしまった現代では
成り立ち難い商法でしょう。

私は単なる古本愛好家ですが、
東京・埼玉・群馬・栃木・千葉・神奈川と
多くの古本屋を廻ってます。

ですが、その地域ならではの出物に会える可能性は低い。
一度、高崎にて群馬交響楽団の創団小史みたいな冊子を
見つけた時は感無量でしたが、そんな機会はそうそうありません。

古本屋小僧の成功と、一人の女性を軸に話は進み、
現代へと話は続いていきます。

取っ付き難かった冒頭部ですが、戦前の小僧時代から
話は、俄然面白くなります。

非常に面白い一冊でした。







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