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2014年9月 第668冊
宮脇俊三 「時刻表2万キロ」 河出文庫
宮脇俊三 「時刻表2万キロ」 河出文庫

私は鉄ヲタじゃないんだけど、古本屋めぐりの友として鉄道を愛用しています。

最近は「北海道&東日本パス」を活用し、栃木・福島・宮城・山形・岩手と
ブックオフや萬葉堂書店(仙台)を巡回してきました。すべて普通列車です。

萬葉堂書店は、ウワサに違わぬ凄い蔵書量(十万冊)で、
海音寺や南條の掘り出し古書が、ゴロゴロ入手できました。

1階と地階の2フロアですが、1階の本棚を数えたら約百棚ありました。
二百棚前後を4時間かけてチェックしたのですが、そりゃもうヘトヘトに
なりましたが、探していた本が出てきた時の驚きは格別でした♪

私はどうも、高速鉄道とか高速道路といった高速ワープが嫌いで、
ちまちま実感の伴った移動が好きです。

歩ければ一番いいけど、距離が稼げないので自転車、
自転車も限界がありますので、電車あたりの移動が好きです。

電車だと移動中読書が堪能できますので、楽しい読書の終わりとともに
行きたい場所に着いているわけです。

ですから東京・仙台間7時間なんて、嬉しい悲鳴です。
読書が大いに捗りますからね。

そんな私なので、著者の鉄道愛、厳密に言えば
時刻表&路線征服愛の一端は共感します。
全線踏破という発想は、男ならではの目標でしょう。
長年全国の鉄道を旅して楽しんで、気が付けば八割以上の路線に乗っていた。

あと二割。
と言っても、その二割が全国に散らばっており、特に支線なんかは
たった一駅だけだったり、一日数往復しか運行が無い路線だったり、
もう乗り継ぎが大変。

でも、完全乗車が困難なほど、マニアは燃えるものです。
難しい目標ほど面白いもんですね、好きなことならば。

二百五十余ページの文庫ですが、書き出しのしばらくはあまり面白くない。
歴史的名著と評価されているだけに、んん?と思いつつ読みましたら、
中盤から、著者の筆が乗り始めて面白くなる。

もともと作家ではないんですから、仕方ないんですが、
人の文章が化け始める面白さも読むことが出来ます。

ちょっとした雑感や、鉄道車内での風景を織り交ぜつつ旅が
進む流れが確立してくる様が素晴らしい。

秋田の山奥では、女生徒の三割がハッとするほどの美形だなんて感想が、
中央公論の偉いさんから書かれたとは頬が緩む。

札幌の夜、宿が見つからず連れ込み宿に渋々一人で泊まるくだりなど、
ユーモアにも溢れていて、そこが名文と評価されてゆく所以だろう。







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