2004年04月 第7冊
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白石一郎 「おんな舟」 講談社文庫
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題名でヘンな事を考えた人、いませんか?
黒田藩江戸総目付の十時半睡というお爺ちゃんが主人公ですので、あしからず。
「十時半睡事件帖」シリーズ第6巻で、文庫本としては最新作。
単行本としては、講談社より第7巻「東海道をゆく」が出てます。
オモシロそー。
総目付といっても、ご隠居に毛が生えた様なもんなのだが、
味のあるお裁きで捕り物帖というより人情モノといえる。
作者は福岡の人なので、シリーズ前半では福岡藩が舞台で福岡・博多の風物が楽しめる。
本作よりお江戸が舞台となり、福岡黒田藩藩邸が赤坂溜池にあった事が分かる。
あれ? 赤坂溜池だとぉ?
サントリーじゃぁないですか!
昔この辺りは大きな水溜りだったそうで、2代将軍秀忠が琵琶湖から鯉鮒を泳がせたそうな。
「小名木川」では、そんな溜池で釣に興じる藩士が主人公。
大失敗しちゃうけどね。
このシリーズはどうせ読むなら第1巻からお読みする事をお薦めしますが、
本書だけ読んでも問題ない。
ですが、きっと第1巻から読み始めたくなるでしょう。
大事件や怪事件は出てきませんが、そんな主題が無くとも
珠玉の小品はできることが分かる佳い作品集です。