2004年08月 第39冊
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青島広志 「作曲家の発想術」 講談社現代新書
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本屋をぶらり、と歩いてたら見つけた一冊。
ネットの世界では様々な情報が入手ができるが、こういったフとした出会いは難しい。
作曲家ブルーアイランドさん、青島さんの赤裸々な現役作曲家の軌跡。
前半では辛口な文体で、作曲界への大いなる警鈴かと期待したが。
徐々に著者周辺への愚痴とも恨み節ともつかない小話が
しょっちゅう挿話されてガッカリ。
もっと大きな視点で、作曲界の腐敗などを語って欲しい。
作曲界が十二分に腐っていそうな事は、十分読み取れましたが。
全体は三章に分かれており、
第1章「作曲家への階段」
第2章「名曲はこう作られた?」
第3章「作曲なんてこわくない!」
多少とも音楽をかじっている我々としましては、面白いのは第1章。
クラシック系作曲家になる、正統的な道がよぉく分かります。
第2章はよくある作曲家秘話が多いし、モーツァルトやベートーヴェンの話はうんざり。
こんなん知ってまんがな、と思うことシバシバ。
ただし、ブルクミュラー二十五番や現代日本の合唱曲に触れている辺りは、
独自性があって興味深く読めた。
こういった路線ばかりで攻めてくれたら嬉しいんだけど、
初心者にも配慮しなくちゃいけないんだろうな、売れるための本というのは大変だ。
第3章は簡単作曲法。
実に単純なメロディから輪唱・伴奏を経て変奏法などが楽譜付きで紹介されている。
でも、こんなのつまんないんだよね。
こういった「方法」が大手を振って歩いているから、新しい音楽が出てこない。
だけど、いきなり幻想曲の作り方なんて、
「インスピレィションの命じるままに」と言う他ないもんなぁ。
いろいろ書きましたが、お薦めには間違いない。
私にしては珍しく出たばっかりの本なので、覚えていたら店頭でパラパラリと読んで見て。
多分、買っちゃうと思うよ。