2005年08月 第102冊
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山田風太郎 『不知火軍記』 集英社文庫
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風太郎初期の中篇3篇。
島原の乱稗史を描いた表題作ほか、
大内氏から下克上した陶晴堅と毛利元就の間を暗躍した妖僧を描いた「盲僧秘帖」、
秀吉亡きあと豊家子飼いの武将が次々と変死してゆく謎を描いた「幻妖桐の葉おとし」。
こうやって粗筋を書いてみると面白いなぁ(と思うのは私だけ?)。
ところが風太郎の初期作品という事もあるし、
長編向きのアイデアてんこ盛りストーリーを圧縮しすぎているからか、
どうにも詰まんない。
詰め込み過ぎなんですよ。
後期の風太郎だったら存分に長編を書けたのだろうが、駆け出しの青年作家が、
持てるだけのエネルギーをぶつけて物語を引っ掻き回し過ぎている。
勿体無い。