2006年02月 第160冊
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唐沢俊一 『古本マニア雑学ノート』 幻冬舎文庫
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最近ゾクゾクと面白い本を出している幻冬舎の一冊。
数十人に一人の割合で出会えた「ワタシ向き」な作家。
この年まで唐沢氏の著作は読んだ事がなかったんだけど、この本を読んで
から早くも5冊は買い込んだ(妻であるソルボンヌK子との共著を含む)。
私は昔から気に入った作家のモノは収集せねば気が済まない性質で、
南條範夫・海音寺潮五郎を始め、山田風太郎・宮部みゆき・・・と
読む順番がいつくるか予測もつかないほど集め込んでいる。
その点、この唐沢俊一はまだまだ著者物も少なそうだし、文体も軽いので
重荷にならなさそう。
さて、タイトルにあるように、著者の「古本」との出会いから始まる
「古本遍歴」が語られてゆく。
私も小学生のころに住んだ町が古本街があって(決して神田神保町のよう
な有名なところでは無い)、古本屋か図書館に入り浸っていた偏屈少年だった。
ただし「カムイ伝」や「星新一」なんかが立ち読み出来るのが狙い出会って、
小難しい翻訳モノなどに手を出すのはもう少し後だ。
世の中には、古本は汚くて触れないなどという可哀想な人がいるし、
最新刊が売ってねぇでねぇの、などとこれまた哀しいことを言ってくれる人もいるが、
古本屋や古本が好きな人には、この本がくっちゃべってる事に大いに共感するはず。
古本・古書業界や古書マニアの裏側が書いてあったり、古本マニアの生態が書いてある。
著者自身が「古本」マニアと言い切り、「古書」マニアと言って無いところも
ワタシ的には大いに共感する。
そう、古書と古本とは大きく違うし、何も古本だからと卑下もしていない。
我々が愛しているのは、まさに「古本」でしかありえないのだ。
この本を読んでいただかないと、私が熱心になっている理由もイマイチ伝わらないが、
ともかくこの本はイイ。
このオッサンはくだらんことも書いているが、頭もいいし文もうまい。
個性は強いが、気に入ったらハマる作家だ。