2006年06月 第184冊
-
池波正太郎 『鬼平犯科帳8』 文春文庫
-
おにへいもこれで8冊目、多少マンネリ化してきたかな。
ただ、独特の世界が確立されており、その世界に浸りたい人には
至福のひととき。
高水準の作品が持続しており、一編も詰まらない作品が無いのは流石。
逆に私の鬼平感想がマンネリになっており、そう考えると池波はすごい。
「用心棒」「あきれた奴」「明神の次郎吉」「流星」「白と黒」
「あきらめきれずに」の全6篇。
中でも「流星」が70ページ余の大きな中短編が混じっているが、
これはちょっと冗長か。
しかし物語には大きな進展もある。
平蔵の親友岸井左馬之助が紆余曲折の末、
いわくのある女を妻とするところで本編は終るのだ。
全てを含んだ上で、左馬之助は彼女を受け入れるが、
なんとなく何かが起こりそうな気もするのであるが...。
池波氏は主要メンバーにはやさしいので、結局この二人は幸せに
なってゆくのだろうが、一波瀾起きて欲しい。