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2007年04月 第210冊
池波正太郎『鬼平犯科帳』9

池波正太郎  『鬼平犯科帳』9  文春文庫

第9巻はいささか凝った内容が多い。
鬼平が子飼いの料理人から毒を呑まされそうになったり、
部下が怪しい動きをしたり、と今までに無かった展開が繰り広げられる。
捕り物一辺倒でなく、捜査や生活の中で起こりえる危険が語られるのだ。


流石に第9巻ともなれば、怪しいヤツが出て鬼平がフとした事に気付いて、
捜査の中で冒頭のちょっとしたエピソードと結びついてゆく、
なんて手法はマンネリ化してゆく。

それを感じさせる前に、こういった番外編みたいな話も絡ませながら物語に
アクセントを付け読者を飽きさせないのは、やっぱり正太郎ならではの腕。

相変わらず作品中に出てくる料理が旨そう。
鮎並(あいなめ)の煮物が毒薬話の小道具に使われるが、
アイナメ・・・旨そうな・・・、と思うのは私だけでは無いだろう。

鮎並の味について薀蓄を語るでもないのに、それを旨そうに思わせる
手腕は、彼ならではのものだ。






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