2007年11月 第241冊
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立木信 『若者を喰い物にし続ける社会』 洋泉社新書
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老人に対して、ものすごい怨みでもあるのか?
とにかく猛烈な勢いで、現代社会を暗黒にしてしまったシルバー世代への
怨恨の詩。
著者は1963年生まれなので、若くも無いが、初老にも早すぎる。
このまま行けば本当に年金がおかしくなる(貰えなくなる)第一世代かも
知れず、その心配は人一倍の世代なのかもしれない。
相当激烈な「煽る」文章。
読んでいて、なんだか危険なものを読んでいるような気がしてくるが、
世の中の流れこそが危険なのかも知れず、何とかなるんちゃうの?
と考えている自分が面白い。
確かに今の世の中、今までの悪事がどんどんバレてきている。
偽装に次ぐ偽装で、ビルも食べ物も嘘だらけ。
しかもそれは昔から続いてきた事で、ばれてなかっただけ。
大きな歯車の一因として加担していた親や祖父母を持つ人は、
意外と多いだろうし、未だにバレてないだけの事象も多いのではないか?
自分の身の回りで、後輩たちがリッチなデートや、新型のスポーツカーを
買ったなんて話を聞いた事が無い。
アイポッドを買っただの、車なんて駐車場代が払えないからムリっすよー、
とか言った話は聞いても、毎日残業残業で、出会いどころか過労で休日も
グッタリですよー、なんてばかり聞く。
最近の若いもんはだらしない、ワシらが若い頃は仕事もバリバリ、
遊びもバリバリ、頑張って頑張って給料も自然と増えたもんじゃ。
そんなことを言う老人は多い。
しかし今の現代社会、コスト削減、給与据え置き、目標は
前年度比20%アップ。
去年以上の仕事をこなして当たり前、こなせなかったら成果給に反映。
それでも昔は頑張れば「報い」があった。
昇進したり、給料が上がったり、会社や組織はどんどん大きくなったり。
これからの世代の人には何があるのだろう。
かなり飽和状態にある昨今、十分に人並みな生活が約束されているのに
関わらず、これ以上の贅沢を求めて、何を目指すのか。
発展途上国は安定した生活の為に我武者羅に働くのも必要だろうが、
没落を恐れる余り成長が停まらないように走り続ける日本社会は、
どこかでぶっ倒れるような恐ろしさを、本書は絶叫しています。
ちょっと警鐘鳴らしすぎなような本書ですが、全体的には否定できない
内容だと思う。