2010年05月 第381冊
-
池内紀 「悪魔の話」 講談社現代新書
-
池内氏の著作は数冊買い溜めてあるんだけど、ずぅっと「のり」と読んでいた。
いけうち「のり」ではなく、いけうち「おさむ」と読むそうです。
著者の作品を読むのは、本書が初めて。
さて、どうか?
キリスト教圏における悪魔の話がいっぱい詰まってる。
どうしても宗教と絡んで述べざるをえず、最初の数十ページで
「読むの止めよかな」と思ってしまった。
中盤からは悪魔や魔女の事件実例が出てきたので面白くなったが、
所詮私は無神論者。神やイエス様を信じてない者にとって、
結局悪魔だの地獄だの謂われても「そんなの嘘じゃん」と思ってしまい、
本書で頑張って書いてくれていること全てが馬鹿馬鹿しくて読んでられなかった。
でも、完読(かなりナナメ読みしたけど)。
キリスト教を信じていたり、悪魔という存在が当たり前の社会では、
本書のような事例はフンフンなるほどと読めるんだろうけど、
将来自分が死んだら葬式さへあげて欲しくないと思っている私にとって、
悪魔の話を捏造した先人たちに聞いてみたい。
そんなウソ話を語ったり書いたりして、それこそ舌を引っこ抜かれたんじゃない?と。
本書の著者には責任はない。
著者は過去のそういった悪魔話を取り留めなく採取して、
紹介してくれている、だけに近いから。
著者は元東大教授で、悪魔関係が専門では無いそうで、
そのことはあとがきでも書いてある。
悪魔のことに興味があって、少しづつ調べ溜めていたようだ。
それはさておき、巻末データに不審あり。
発行者、発行所、住所、郵便番号、電話番号と続くんだけど、
その次の行に白い紙が貼ってあって、元々印刷されていた一行が隠されていた。
慎重に白紙を剥がしてみると・・・「装幀者」が隠されていた。
講談社現代新書のブックカバー、特に背表紙の旧タイプは不評だったんだ
と思う、数年で白一色の背表紙に変えられた経緯があるのだ。
おそらく本体はそのままで、ブックカバーだけ新タイプに変えたから、
旧タイプの装幀者を白紙で塞いだのだろう。