2012年11月 第550冊
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福島克之 「ヒトラーのいちばん長かった日」 光人社NF文庫
ヒトラーに注目した本は、今まで一冊(柘植久慶「ヒトラーの戦場」集英社文庫)
しか読んでないのでヒヨコですが、なかなか読み応えがあった。
ヨーロッパを席巻するかと思われたドイツ第三帝国も、
英国本土上陸作戦を諦め、ソ連と開戦し二正面作戦を
決行してしまったことで、泥沼に陥ってゆく。
結局、日本もドイツも資源、特にオイル不足に苦慮し、
資源確保を最優先せざるをえないことから無理な作戦に陥ってゆく。
本書はそんな概略から、いよいよヒトラーが自決する前夜へと進んでゆく。
なぜ自決するまでになったかをダイジェストに読むのは面白く、かつ、
多くの信奉者が沈む船から逃れようと裏切ってゆく。
しかしヒトラーとその周りは抜け駆けさせじと、
逃亡者に制裁を忘れないのが惨たらしい。
あんなに忠実だったのに、あんなに報いてやったのに、
最後の最後で裏切る奴は許さない!というのが
ヒトラーとその取り巻き、最後まで逃走することさへ
怖くて出来なかった輩の小心さが嘆かわしい。
いよいよラスト24時間という描写は微に入り細に入り。
日本も原爆が落ちなかったら本土決戦だと息巻いていましたが、
意外とどうだったかと夢想してしまいました。