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2014年2月 第625冊
中川右介 「カラヤン帝国興亡史」 幻冬舎新書
中川右介 「カラヤン帝国興亡史」 幻冬舎新書

ヘルベルト・フォン・カラヤン。
戦後のクラシック界の頂点に君臨した帝王。
彼の人生を描いた、おもしろーい一冊。

私は丁度、カラヤン帝国に陰りが見られ、
バーンスタインや、クライバーが全盛だった頃に
クラシックに目覚めた世代。

テレビで初めて、N響アワーを見た時、
感銘を受けたのが、ミッシャ・マイスキーの
ハイドンのチェロ協奏曲だった。そんな時代。

だからカラヤンに対して、追慕もアンチもないんだけど、
あれほどの権力を握り締めた男には興味がある。

音楽的には、ワーグナーのリング(CD)や
プッチーニ「トゥーランドット」(CD)などが大のお気に入りで、
オペラ指揮者としてのカラヤンは、全く素晴らしいと思う。

一方、彼が生涯何度も録音したベートーヴェンや
チャイコフスキーの交響曲は、ほとんど聴かない。

ベートヴェンならパーヴォ・ヤルヴィが圧勝だし、
チャイコなら、アバドをよく聴いている。

ちなみに、バーンスタイン盤はアイブズやコープランドが好き。
クライバーは、やっぱ薔薇の騎士でしょう。

フルトヴェングラーに嫌われた若き日々。
地方のオペラ監督として実力をつけ、頭角を顕してゆく。

ザルツブルク音楽際を立ち上げ、興行として
クラシックから、カネを創り出してゆく。

しかし、当時の聴衆は「カラヤン」が聴きたかった。
結局すべて、そこに収斂されるでしょう。

あんなもん、とへそを曲げる人も多いが、
カラヤンを聴きたいと当時の人は多く思った。

そんな演奏をし、そう思わせる方に人心を動かしたところに、
カラヤンの凄さはある。

それに比べて、現代の指揮者の小粒なこと。
大好きだったヒコックスは急死したし、
ギーレンは、高齢化でほとんど出ない。

ベルリン・フィルはラトルのままだし、
ウェルザー=メストやティーレマン何するものぞ。

ラシライネンやパーヴォ・ヤルヴィが桧舞台に出て来ないことに、
現在の問題がある。






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