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2014年9月 第670冊
古川愛哲 「九代将軍は女だった!」 講談社+アルファ新書
古川愛哲 「九代将軍は女だった!」 講談社+アルファ新書

非常に、ショッキングな題名である。

それゆえに、こういった眉唾本は手にさへ取らない、という人もいるだろう。
一方、私はこういった本は大好物。
新説異論は無茶な論拠もあるが、得てし一聴に値する話も多い。

書名「九代将軍は女だった!」もまさにそうで、
徳川幕府第9代将軍家重は、謎の多い将軍である。

ちょっと歴史が好きな人なら思い出すだろうし、
「徳川家重」を画像検索してみるとすぐ出て来る。

梅干すっぱい・困ったなぁ、なんて顔をした肖像画が出てくるが、
「肖像画」でさへ、恐れ多くもかような絵を残したというには、
何か理由があったはずだ。

もう一つ、筆者は科学的考察を試みている。
昭和42年刊行「増上寺徳川将軍墓とその遺品・遺体」(東京大学出版)の
発表データにより検証を試みているのだが、確かに著者のように疑って
読み込めば不審な気もするし、疑い過ぎとも云える。

ただ、もっとも説得力に欠けるのは、次の第10代将軍への血統だ。

第9代に一人も児がなく、弟や従兄弟などが第10代を継いだのなら
その信憑性は増すが、第10代は第9代の息子となっている。

女性将軍が男と偽り続けて、子供まで秘密裏に産むことは実際不可能。

百歩譲って産んだとしても、もうそれは女系徳川であって、
男系徳川とは言いがたい。そこまでして、男系徳川を潰してまで
家重を第9代にしただろうか、あの賢君吉宗が。

女将軍考察は全体の四分の一。
あとは江戸時代の驚き話がいろいろ開陳されている。
何はともあれ、そういった疑い方もあるのだな、と面白く読んだ。







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