2004年09月 第43冊
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貴志祐介 「青の炎」 角川文庫
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ここんとこ、大感動が無かった私にとって、久々の大感動。
秀才肌の今時の高校生が主人公。
母親の昔離婚した義父が、今頃になって平和な母子家庭に
闖入してくる所から物語はスタート。
飲んだくれの元義父には秘密があるんですが、正義感と生真面目な主人公は
大切な母親と妹を守るべく完全犯罪を企てる...。
こういうのを倒叙小説と云うんだそうですね。
犯罪者側からストーリーが展開してゆくことによって、
推理と言うより犯罪者の深層心理と殺人トリックがすこしずつ
暴かれていく恐怖心理が克明に書き現されてゆきます。
うまいです、何もかも。
後日譚がありまして、感動した私、ビデオまで借りてきました。
「嵐」のメンバーとかあややが出ている映画版です。
でも、小説の細やかな表現が全然駄目で、
小説を読んだ人にはテンデ駄目だったでしょうなぁ。
もっとも此処までリアリティに書き上げられた傑作を
2時間ちょっとで纏めようってのが無理。
本編は大きくは2回の山場がありまして、
第一の目的が達成されたところからが真の悲劇。
どうしてこうも不幸に見舞われるのかと、読んでいても熱くなっていきます。