2005年10月 第124冊
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奥田英朗 『邪魔』(上下) 講談社文庫
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最近の新進作家ってホント面白くなっている。
むかし自分が漠然とこんな面白い本があったらなと、
もやもやしていた以上のクゾ面白い本が次々と現れている。
若者に限らず、多くの人の活字離れが叫ばれて久しいが、
才能ある作家がコンコンと沸きいずるのはナゼ?
今回の奥田英朗もそんな一人、と十把一絡げに纏めちゃうのは
飛んでもないくらい突出した作家だった。
今後この人の作品は、遅まきながら全作取り上げてゆくと思う。
昨年「空中ブランコ」で直木賞を取ったのは当たり前という事か、
遅かったという事か。
本書は2001年刊行の犯罪小説。
最近私はこの犯罪小説に魅力を感じてまして、犯人が主人公でもいいし
刑事が追い駆れるのも良いけど、魔が指して悪事を働いた男の妻、
善良な平凡な妻が平安な家庭を守るため泥沼にハマって行く
本書のストーリーは絶品だった。
上下八百ページもあるので、奥田英朗初体験の私は完読するのに
何日掛かるかと心配だったが、二日もかからず読み終えた。
最後の二百ページほどは一気読み。
もう読むことを止められなかった。
直木賞も取った人なので、何を今さら、と既に読んでしまっている方も
多いでしょうが、未読の人は善は急げデス。
最大級の評価をしても、余りある作品です。