2005年11月 第129冊
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今尾哲也 『歌舞伎の歴史』 岩波新書
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歴史小説や時代劇が好きな人によくあるように、私も歌舞伎が好きです。
この歳で歌舞伎とは、随分爺臭い趣味なんですが、
一種の日本的オペラとして楽しんでいます。
歌舞伎って予想外に音楽(三味線やバチ・太鼓)が格好いいんですよ。
好きだと云っても好きになったのはここ何年かの事で、
基本が全然判っていないので、とりあえず買ってみたのが本書。
あんまり面白い本ではなかったが、歌舞伎に対する筆者の
愛情と熱意は伝わってきた。
それと歌舞伎の歴史がなんとなく判ったのは、当たり前の話か。
しかし、どうにも好きになれないのは歌舞伎役者の血統。
親の七光りとはこの事で、あれほど洒落で済まされない不祥事を繰り返しても
着実にステップアップする御曹司たち。
隠し子だとか不倫・交通事故・喧嘩は当たり前。
それもこれも「あたしも若い頃は随分無茶ぁしましてね」
なんて自慢話になってゆくのだろう。
無茶された人は、堪ったものじゃないんですけど。
本当のカブキとは、親のスネかじらずに独立独歩で闘えって云いてぇんだ。
だから私は、自力で入門して役者になってる人を応援したいと思う。