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2008年02月 第256冊
永竹由幸  「オペラと歌舞伎」  丸善ライブラリー

永竹由幸  「オペラと歌舞伎」  丸善ライブラリー

3年ほど前、新小岩からとぼとぼ歩いた先の、懐かしい雰囲気な
古本屋で買った一冊。
確かにオペラも歌舞伎も似てるよなぁ、でもつまんなさそ。
そう思いつつ、手に取ってしまったことと、他にいい本も見つからず、
何も買わずに店を出るのも気まずかったので、仕方なく買ったのを憶えている。

しかし本との出会いは不思議なもので、こんな惨めな出会いが
これほどの感興を呼び覚ましてくれるとは!

あたしゃ直ぐに「永竹由幸」で検索しましたよ。
他にも文庫本や新書は無いのかを!
文庫や新書は無く、数千円する高い本しかなかった。
しかも本書は現在品切れ(丸善HP)。
簡単に入手可能なら読んでみるか、と思った方、思わせてしまってスミマセン。

17世紀、イタリアと日本で大体同時期に興った節回し付き芝居。
イタリアでは、教会女声禁制の影響でカストラートが発展。
日本では、女歌舞伎や若衆歌舞伎が風紀を乱すとされ、女形が発達。
洋の東西において、偶然か必然か、それぞれの節回し付き芝居は
似た風に発展改良されてゆく。

みなさんは歌舞伎をご覧になった事がお有りでしょうか?
テレビじゃないよ、舞台だよ。
これが実演ではすんごく刺激的で、オペラと比較されるのは直ぐ納得してしまう。

舞台の華やかさは歌舞伎に軍配あり、音楽的にはやはりオペラか。
しかし和楽器や唄を結集した歌舞伎の音楽は超独特で、
世界の何をも真似していない。
あの奇抜なメイク「隈取」や、ここぞという時の決め台詞、決めポーズは、
大した発想だと思う。

本書はそんな東西の「芝居」の発達を比較並列しつつ、ときどきコジツケ?
と感じつつ見事に比較文化論に仕上げている。
歌舞伎にもとことん詳しいくせに、ボローニャ大学留学した著者は、
ロッシーニやヴェルディも具体的に検証し、カラヤンやカラスについても
鋭い考察を下している。

図書館や古本屋で見つけたら、是非、読んでみて下さい。
読みやすくて、面白くて、きっと満足されるでしょう。






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