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2008年08月 第286冊
高島俊男  「お言葉ですが・・・」  文春文庫

高島俊男  「お言葉ですが・・・」  文春文庫

週刊文春に長期連載されていた毒舌言葉遣い系エッセイ。
この人のきっつい性質が滲み出るような文章なんですが、
回を重ねてゆくと少しづつ丸味を帯びてくる。

もっとも面白いのが、読者とのコメントのやりとり。
週刊誌に超毒舌でブッた斬るのは良いとして、こういう文章を載せると
決まって文句(ご意見ご忠告)を寄せる人が出てくる。

事実の訂正時は著者も素直に感心したり感服したりして微笑ましいのですが、
深い理由があった上で書いた自説にイチャモンがつけられた時の著者は
大人げない。

たとえば、昔は田舎から上京した人の心を歌を謡った歌謡曲が多かった。
そんな話を書くと「町の人を差別している」なんて書いて寄越す人があるそうだ。

著者はそんなコメントはさらりと採り上げるだけに留めているが、
随分腹に据えかねているんだろうな、と可笑しい。

直木賞についていろいろ書くと、
「直木賞が取れない事がそんなにくやしいか」
とお便りが来る。

それに対して著者の返答が可笑しい。
「くやしいにも何にも。わたしは小説を書いたことさえない。」
著者は、中国文学の市井の学者なんですよね。

知らない事の知識も山ほど軽々と書いてある。
年号。現在は平成ですが、その年号が決まった裏話。
「平成」「正化」「修文」の3候補があったそうだ。
明治はM、大正はT,昭和がS。

「正化」「修文」ではまたSとなってしまうから平成に決まったわけでなく、
当時の竹下首相ら首脳部中心で腹は決まっていたと言う。
考えてみると年号と言うものは恐ろしく重要で、せめて年号は天皇の独断でも
良いような気がするんですが、政治の密室で決まっていたんですね。


明治なんぞは過去9回も年号候補から落選し、
十回目にしてようやく採用となったそうだ。
年号で採用されている字のベスト10もある。

永29、元27、天27、治21、應20、
正19、長19、文19、和19、安17。

こうやってみると慶「應」、明「治」、大「正」、昭「和」と、
確かに良く使われている。

永元とか永天とかの年号が現れる日が来るかもしれない。
それぞれ何らかの理由で、組合せがタブーなのかもしれませんが・・・。






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