2008年08月 第291冊
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東直己 「ススキノ、ハーフボイルド」 双葉文庫
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毎度何を読んでも面白く、大好きな作家の一人である東直己。
しかし、これは駄作。
あづまファンの多くも、きっと違和感や落胆を感じた作品だろう。
ただし本作は著者の他2作品と作品背景がリンクする力作だそう。
ススキノ探偵シリーズ「駆けてきた少女」とは角度を異にしつつ
同事件を追っているそうだし、私立探偵畝原シリーズ「熾火」とも繋がるそうだ。
あづまファンとしては、そう言われちゃぁ本作も読んで損はなかった、と
ホッとするが、それにしてもこの本は詰まらんかった。
ちなみに私は、あづま作品の文庫本は全作収集しているので、
数ヶ月に一冊のペースで読んでいます。
いずれ「熾火」やススキノ探偵シリーズ(現在文庫本で8冊目)も読む予定。
札幌の進学校に通い北大進学を目指す男子高校生が主人公。
こいつがエロ猿で、美人ホステスとねんごろであり、
前半は数々のお色気シーンで鼻白味。
それでいて喧嘩となると度胸が無いばかりか、夜のススキノで
喧嘩沙汰となると高校退学・北大進学パーが頭に浮かぶという気の小ささ。
実にスケコマシ、かつ根性なし。
「ススキノ・ハーフボイルド」と、「ハーフ」を強調してはいるが、
まったくボイルドされていないフニャチンヒヨっ子というわけだ。
読んでいて、いらいらムカムカ。
どうしてこんな愚作を書いたんだろう、東直己ともあろう人が。
ススキノで美人ホステスとねんごろになり、
彼女の金で彼女の店で酒を飲み、
ちゃっかりと隙あらば受験勉強に怠りない。
すっごいヤナ奴だけど格好イイ顔立ちのようで、
カワイイ同級生から助けの相談。
ところが相談内容とかそこから発展する事件が、非現実的。
新学校の女子高生が、ヤクザと出来た挙句、覚醒剤容疑で捕まるのだ。
それなりの理由はあるのだが、実際こんな事件なんて
ちっともありえないし、ハラハラもしない。
更にラストの種明かしが吹っ飛んでゆく。
すべて、下らなさ過ぎ。