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2008年12月 第304冊
文藝春秋編  「孤高の鬼たち」   文春文庫

文藝春秋編  「孤高の鬼たち」  文春文庫

1989年初版の文庫本なんで、古本屋でも出合うのは簡単では無いかも。
しかし、もし見つけたなら買っておいて損はなし。
小説や小説家の丸秘話がテンコ盛りだ。

瀬戸内寂聴が「太宰治」と三鷹下連雀の情緒について。
山口瞳は隣人の小父さんだった「川端康成」。
松岡筆子が書いた父「夏目漱石」の話は実に興味深い。
妻・坂口三千代は夫「坂口安吾」を書くが、もう凄い話の連続。
今東光と「谷崎潤一郎」に繋がりがあったなんて意外だし。
水上勉が「宇野浩二」とあんな付き合いがあったなんて、
今じゃ知られていないんじゃ無いかな。

他にも7人が書いているんですけど、特筆したいほど感銘を受けたのが
北川荘平が書いた「高橋和巳」との交遊録。
高橋和巳についても興味を持ったが、彼より先に世に出ながら、いつしか
文壇から消えて行く運命にあった北川荘平の悔しさが実に凄みが出ている。
それ以来、北川荘平の本を探しているんだけど、なかなか古本屋では見かけない。

多くの作家は、死後忘れられつつある。
太宰や川端も名作としてピックアップされてはいるが、雨後の筍のように
新登場する新人作家は後を立たず、永遠に持て囃され続ける事の難しさを実感する。

夏目漱石がDV夫だったり暴力父親だったのはショックだったし、川端康成が
想像外に善い人だったり、と人間なんて写真や小説から想像してしまう感じとは
全然違うんだなと思った。
面白い本。






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