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2009年09月 第344冊
隆慶一郎  「吉原御免状」   新潮文庫

隆慶一郎  「吉原御免状」  新潮文庫

後水尾帝のご落胤であり、徳川の陰謀のため都落ちした幼児は、
宮本武蔵の手で育てられる(と云う設定)。

成長した幼児松永誠一郎は、徳川家康より下された吉原御免状を守るため、
吉原を襲う裏柳生と死闘を繰り広げてゆく。
この御免状には徳川家が震撼する秘密が書き込まれており、
それを取り返そうと柳生家・裏柳生相入り乱れて花街・吉原に襲い掛かる。

週刊新潮で好評連載された後、直木賞候補にもなり、
当時時代小説界にセンセーションを巻き起こしたそうだ。
痛快娯楽奇伝といった何でもありな設定、戦闘描写はかなりむごたらしく、
関ヶ原以降の家康は影武者だったという著者の自説など、
自由自在に話を創っている。

そういった創作性は大いに結構なのだが、どうも
渋味の無い華やかな装飾性が好きになれない。なんというのかな、
藤沢周平とか白石一郎みたいな淡々としたものは無く、
かといって山田風太郎とも何だか違う。

風太郎より土俗・風俗性が強く、自説(家康影武者説など)を
全面に押したてている。






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