2011年6月 第449冊
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副田護 「太平洋戦争49の謎」 廣済堂ブックス
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平成4年初版の新書サイズ。
著者副田護は今、架空戦記モノを書いており、
この本を読むと彼の歴史認識が深いものだと分かる。
太平洋戦争における49の謎を解くことで、
戦史も辿っていこうという趣向。よく出来ている。
例えば、戦艦大和・武蔵。
大活躍する機会も無く、沖縄特攻させられた大和。
護衛航空機が無くなった終末皇軍に、
大和の使い道は無くなっていたとよく読むが、
それならば何故そうなる前に活用しなかったのか。
そんな疑問に「謎17、戦艦大和・武蔵はなぜ前線に
出てこなかったのか?」で解き明かしてくれます。
日本軍首脳部の頭の固さにはガッカリしっぱなしですが、
米軍側の戦後証言も裏付けとして併記されており、
日本軍と米軍がそれぞれどう考えていたかもよく分かります。
「謎38、日本海軍の砲撃精度はなぜ低かった」という題名は、
戦記ファンからすれば???
日本海軍の砲撃訓練は猛烈で、その命中精度は自慢するほどだった。
それが、実際のレイテ決戦では驚くほどの精度に終わったというのだ。
その精度数値や、なぜそうなり果てたのか、
本書では詳しく述べられている。
1993年文庫化されているが、現在も書店に並んでいるかは確認できない。
次から次へと似たような本が出版されるが、こういった本が
再版された方が効率的かと思うのだが。