2011年6月 第451冊
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東直己 「古傷」 光文社文庫
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2004年11月初版。
表紙には「文庫書下ろし長編ハードボイルド」とありますが、
分量は212ページと長編とは言い難いし、何と言っても全く
ハードボイルドでない!
法間と書いてノリマと読む探偵が主人公。
法間はホウカンとも読むように、この探偵、
幇間よろしく追従やおべんちゃら満載の。
人を見るとむずむずとおべんちゃらが言いたくなる性質のようで、
文の3分の1くらいは法間のおべんちゃら。
アンタッチャブルの山崎弘也(通称ザキヤマ)を
配役して読んでみると、結構楽しめる。
北関東の中核都市、その都市を牛耳る大富豪から探偵にお呼びが掛かった。
雲の上の上客から依頼とあって探偵はいそいそと参上するのだが、
大富豪には大富豪なりの悩みがあったのだ・・・。
著者はどういう了見で本書を書いたのか解からないが、これは駄作。
後半は面白い展開になるだろう、東直己らしい重量な結末が
待っているはずと思って読んだが、おそらく本書は東最低の一冊。
ハードボイルドから殻を破り、文庫書下ろしとあってサラサラと
書いたんだろうが、これは無駄な読書だった。
私は一日50ページくらいしか読書できないんですが、
本書は探偵のおべんちゃらが多い事もあり、たった一日で読了。
たぶん、一週間もすれば内容も忘れてしまうだろう。