2011年8月 第457冊
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山田宗樹 「嫌われ松子の一生」上下 幻冬社文庫
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今頃、読みました。
TVドラマや映画化もされ、本そのものも大ベストセラーでしたね。
上下2巻と言う大作ですが、これだけサクサク読める(読みたい)本も少ない。
叔母が殺され、逢ったことさへない甥っ子が叔母の足跡と
死因を追っていくと言う、ちょっとした探偵まがい。
ですが犯人探しが主ではなく、叔母の悲しい転落人生を
追っていくことを主とした、着眼点が珍しい実録風小説。
厳格な家庭でまじめに育った松子は優秀な成績で
地元の大学を卒業し、地元中学の先生になり、
校長と修学旅行の下見に行く事から人生に躓いてしまう。
読んだ人は一様に面白かったと言うし、私もサクサク読んだ。
読後感は左程残らないが、本書の続編「ゴールデンタイム」は
速攻で探して買った。
甥っ子カップルのその後も気になるし、ストーリー作りは上手いし、
文が読みやすい。先が気になる物語展開で、
「とにかくダーと飽きずに読める本が欲しい」
「ヨーロッパ行きの飛行機で長時間退屈しないで済む本はない?」
なんて時には最高の一冊だ。
突っ込み所がたくさんあるのだが、主人公の人生舞台がドンドン変わって、
しかも「運が悪いとそうなることもなろうな」と思わせる絶妙な展開。
そっちに行っちゃ駄目、そうしちゃ駄目〜って方にばっか進む。
最後も救われること無く、とことん人生転落させるコンセプトも守られている。
救いが無い話なのに、読み物としてヘコむことがないという、不思議な作風。