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2012年02月 第499冊
南條範夫  「織田信長」上下  徳間文庫 南條範夫  「織田信長」上下  徳間文庫 南條範夫  「織田信長」上下  徳間文庫
南條範夫  「織田信長」上下  徳間文庫

十年前に読んだのだが、懐かしく思い、もう一度読んでみた。
するとどうだろう、結構、意外性に飛んだエピソードが
ゴロゴロ出てくるのに、全く読んだ記憶が戻ってこない。

戦国期の歴史モノは、無数に読んできたから、
本書ならではのエピソードかどうか、特定しにくいが、
初めて読んでいるような気持ちが、最後まで続いた。
我ながら、恐ろしいほどの記憶力・・・ゼロ。

南條は本書「織田信長」のほか、「豊臣秀吉」「徳川家康」と
全て徳間文庫から、三大英雄を出版している。

「徳川家康」はこの他に奇書「300年のベール」や
「無惨や二郎信康」も出しているので、いつか読み比べよう。

南條氏は、「残酷もの」と言われるジャンルで戦国モノを多数書いている。
「燈台鬼」「残酷物語」「裁きの石牢」「被虐の系譜」「牢獄」などなど、
他にも多数ある。

戦国モノとしては、近江六角氏を描いた「幻の観音寺城」、
山中鹿之助の七難八苦「出雲の鷹」、明智光秀の反逆までが
ワクワクする「桔梗の旗風」などなら文春文庫の古本を
探せば読める。

そんな訳で、戦国モノを数多く書いている南條範夫だが、
今回は王道中の王道「織田信長」を読んでみた。

南條範夫の語り口が肌に合い、彼の文章なら
何でも大好きなのだが、案の定本書も面白かった。

大体の信長の流れは知っているが、
それでも彼の人生はドラマティックだ。

道三の娘濃姫(帰蝶)のエピソードを多数織り込み、
途中から心が通じ合っていたという解釈で書かれている。

信長が、桶狭間で名を上げるまでの苦節時代も、丹念に描かれており、
ここをじっくり描くことによって、なぜ彼がブチ切れた人生を
送るのかが得心する。

学習研究社(学研)による単行本も手に入れた。
本文は同じなのに何故買ったかと言うと、
巻末に桑田忠親との対談解説(16ページ)が付録されていたからだ!

それによると、南條氏は「男らしい人物」が好きだそうで、
ちょっと意外だった。

確かに彼は山中鹿之助や山岡鉄舟、源為朝といった豪傑で
長編を書いているが、男らしいというより「変わり者」たちだ。

だから南條氏は「変わり者」が、好きなんだなと思っていた。

それが「男らしい人物が好きだ」なんて、
彼は、自分の深層心理を理解していなかった。
まぁ、そんなところが、南條範夫らしくて、いいね。






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