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2013年3月 第569冊
大沢在昌 「屍蘭 新宿鮫3」 光文社文庫
大沢在昌 「屍蘭 新宿鮫3」 光文社文庫

このメルマガを始めて485冊読んだが、ミステリは
87冊しか読んでいない。

私の最も愛読しているジャンルは歴史モノで、
170冊読んでいるから、半分に過ぎない。

ですから、ミステリについて、これが一番だとか、
今まで最も良かったミステリは、なんて偉そうに語れない。

まだまだ、読んでいない作家の方が多く、今はただ、
ミステリのお花畑が思っていた以上に美しく広いこと。

「○○殺人事件」なんて今は昔、ちょっとした
ありふれた生活からするりとミステリは始まってゆく。

そう、私だって明日からミステリの脇役に
挟み込まれてしまうかもしれない。
そんなリアリティが、現代ミステリにはある。

新宿鮫シリーズ第3作。
そろそろ、安定期に入るか?と思いきや、これが
猛烈に読ませてくれた。今日は休日の長風呂、
二時間も風呂から出られず、ガツガツ読んだ。

前作とは打って変わって、アクション性は無く、
医療・知能戦といった題材。思わず本書参考本と
書いてあった上野正彦「死体は語る」を買ってしまったほど。

最近のミステリは、様々なお題からストーリーや犯罪が描かれており、
そこから、自分の全く知らなかった未知の世界に、目が開いたことも多い。
フィクションものの新書も、多く買い込んでいる。

キャリア警察官なのに、新宿署の防犯課平刑事として励んでいる
主人公鮫島。とはいっても、三十歳前後にして階級は警部。

しかし上層部の抗争に巻き込まれ、どちらにも
属さないスタンスを貫いたばかりに、平刑事として
飛ばされてしまっている。

しかし信念の塊みたいな鮫島は、今日も新宿の悪に喰らいつく。

売春の元締と、ホテルロビーで立ち話した翌日、
その男は、奇妙な変死を遂げる。

配下のコールガールの診療トラブルのために、
その男は病院と揉めていた。その娘の彼氏がその病院へ
文句を言いに出て行くが、行方不明となってしまう。

敵もさるもの、執拗に捜査を掘り進む鮫島を、陥れるため、
警察上層部に巧妙な密告を行い、捜査を撹乱する。

もともと上層部から、睨まれていた鮫島には監視の眼が付き、
更に、罠が嵌められてゆく。

鮫島サイドと犯罪者サイドをうまく並行させ、それでいて
誰がどう動いているのか、次に何が起こるのか。
とにかく先を読みたい、読めば更に知りたい、の連続だった。

面白い。






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